2009年11月17日火曜日

並べてできる

街の景色 3歳児作品 厚紙、絵の具など 35×32×4(cm)


箱の中に半立体のビルと、ポップアップ形式の車と人を配し街の景色を作ってみました。

街の景色 4歳児作品 厚紙、絵の具など 35×32×4(cm )

ビルは斜めから見た、建物の二面が見える形。その前に人と車を配置するので、自然と絵の中に重なりができます。制作したのは3から5歳の子供たち。この年代の子供の絵では、まだ物は並列に描かれ
重なりがありません。物の重なりを形式から体験してみるための作品です。

街の景色 5歳児作品 厚紙、絵の具など 35×32×4(cm )
人を配置する位置、人同士の重ね方、背景の鳥の貼り付け方など、同じパーツを使っていても並べ方
によって画面の雰囲気が変わることがわかるかと思います。


街の景色 5歳児作品 厚紙、絵の具など 35×32×4(cm )

大人から見ると、何が描けるかというところに目が行きがちですが、絵を作っている要素は、形を描くだけではありません。色、バランス、空間の把握等様々な要素がからんでいます。子供の興味はそれらにもおよび、並べ方に細心の注意を払う子もいます。

街の景色 4歳児作品 厚紙、絵の具など 35×32×4(cm)
この作品ですと三人の人が手をつないでいます。配置の仕方によってもの同士に関係性が発生するという発見は、ちょっとした遊びから生まれます。




2009年11月11日水曜日

偶然が作る


                3歳児作品 サイズB4

絵の具を霧吹きに入れて、動物等のステンシルを使い描いたものです。
絵の具の垂れ、にじみが思いもかけない色を生みだしました。
                3歳児作品 サイズB4
絵を描く面白さの一つに、こういった偶然に出会うことがあります。
意図したものとは違うが、これでよいのではないか、そういった判断を楽しめると制作は無限の広がりを持ち始めます。
                3歳児作品 サイズB4

子供の優れている点の一つに、偶然に対する寛容さ、探究心の深さがあります。
大人に比べより感覚的に判断を行うことができるといえます。
とくに6歳くらいまでの間に、こういった感覚を十分に解放してあげることはとても大切だと私は考えています。

                3歳児作品 サイズB4
子供は制作から何を発見したのか、客観的に説明することはできませんが、目の前に起こった現象から多くを吸収し、それをストックしているように思います。
ストックはやがて言葉を得て、様々な感覚や知識として本人と周囲に認識されていきます。

                3歳児作品 サイズB3
意味を求めることなしに、絵を描くことができるのは人の一生のうち子供の時だけで、子供の時にしかできないことを追求してみることを私のレッスンではテーマとしています。

                      2歳児作品 サイズB3
技術は後から訓練することでいくらでも覚えることができます。
しかし偶然を呼び込む勘や、そこから何かを感じ取ることは子供の時にこそ覚えるべきではないでしょうか?ある種の気まぐれさが、美術の大きな魅力でもあるのです。














2009年11月7日土曜日

女の子、男の子


お母さん 4歳児作品 段ボール、絵の具 42×30cm

顔は子供の絵に良く表れるテーマの一つです。女の子は自分やお母さん等女性の顔を、男の子はやはり男性の顔を描くことが多いようです。

お母さん 4歳児作品 段ボール、絵の具 42×30cm
性別を髪型、アクセサリー、服装、背景などで具体的に描き分けるようになるのは、4歳くらいからでしょうか、絵の記号としての側面を理解しだすのがこのくらいの年齢なのかも知れません。

お父さん 5歳児作品 段ボール、絵の具 42×30cm
もうひとつ自分と同性を描こうとする理由として、誰を描いても自分の顔に似てしまう、という理由があるのではないかと考えています。これは大人でも同じです。特定のモデルを前にして絵を描いていてもどこか自分に似てしまう、ということは良く起こります。ちなみに顔だけでなく、全身の絵を描いていると体の各部分、たとえば関節の形や、筋肉の付き方なども自分の体形というフィルターを通して見た他人の形、という具合に似てくるのです。
お母さん 4歳児作品 段ボール、絵の具 サイズ42×30cm
これは自分の姿形が一番良く見て、触れて知っているからではないでしょうか。知っているものを頼りに知らないものにアプローチする、良く考えれば当たり前なのかもしれません。




2009年11月2日月曜日

見る/見られる


お面 厚紙、発泡スチロールなど、 約55cm 5歳児制作

お面を作りました。お面をかぶると、自分とは違う何かになれるということは、2歳すぎから理解するようです。鏡へ対する興味とも関係がありそうです。


 お面 厚紙等、約60cm、3歳児制作

絵を描いた結果、それが自分にとって良く分からないものになると、「これ”おばけ”」と子供は良く言います。整理しきれない内面が、お化けのように出てきた、と言っているように私には思えます。




お面 厚紙等 約60cm, 3歳児制作

常に人に見せる、見られることを前提に意識的に絵を描くようになるのは、五歳くらいからのようです。これは言葉の発達とも密接に関わるでしょう。

見せるためでなく、自分の心の中を覗くように絵を描く1~4歳くらいの子にとって、お面という形式はとても良く合っているように思います。自分の行った痕跡がすべて顔として見えてしまうからです。自分で作ったら怖くて顔に着けれないなんて子もいます。